トイレットペーパー買占めに見る『予言の自己成就』と人の不安感

先日、トイレットペーパーの買い占めに関するこんなSNSの投稿を見ました。


トイレットペーパーやティッシュペーパーの買い占めに関しては少し前にこのブログでも書きましたが、日本国内の工場で生産しているため中国の状況に関わらず影響が出ることはないですし、本来品薄になることはありません。


ですが実感としては薬局などの入荷がされているにも関わらずトイレットペーパーやティッシュペーパーの品薄状態が続いていると感じます。

かつてオイルショックで同じことが起きていた

3月6日時点のFNNにてこんなニュース動画が投稿されていました。動画は8分超ですが特に苦も無く観られると思います。

年代によってはオイルショックがピンと来ないかもしれないので説明を入れておきます。

1973年の第四次中東戦争を機にアラブ産油国が原油の減産と大幅な値上げを行い、石油輸入国に失業・インフレ・貿易収支の悪化という深刻な打撃を与えた事件(第一次)。また、1979年のイラン革命に伴って産油量が減り、原油価格が急騰した事件(第二次)。石油ショック。
引用元:weblio国語辞典 https://www.weblio.jp

当時の日本ではこのオイルショックにより、トイレットペーパーや洗剤など日用品の買い占めが起こりました。その背景を細かく追っていくと、実はこちらもデマが広まったことが原因だったりします。原油価格の大幅な引き上げにより当時の通算大臣(通商産業大臣)が「紙製品の節約」を呼び掛けたところ、次第に「紙がなくなるのでは…?」と人々の間で噂が流れ始めます

とある大阪のスーパーが広告に「紙がなくなる!」との書き出しで特売品のトイレットペーパーの販売をしたところたちまち500個が売り切れ、特売品以外のトイレットペーパーも出さざるを得なくなりました。(調べてみるとこの広告オイルショック云々ではなく激安だから買わないとなくなりますよという意味で「紙がなくなる!」と書いていたらしい。)

そして、その噂を聞きつけた新聞社がこともあろうか『あっという間に値段は2倍』という見出しで新聞に書いてしまったため、みるみるうちに騒ぎが大きくなりトイレットペーパーなど日用品の買い溜め⇒価格の急騰が起こりました。店舗に入荷する分すら不足していたというこの騒動が収まったのはパニックから実に5か月以上たってからだそうです。当時も今回と同じように紙製品の生産は安定していた(むしろ生産量は増えていた)にも関わらず、一度パニックを起こした国民にはなかなか政府からの働きかけが届かなかったそうです。

不安を煽られて買う『予言の自己成就』

社会心理学に『予言の自己成就』という言葉があります。これは根拠のない噂や思い込みを信じた人たちの行動によって本当にその通りの事態になってしまうことを言います。

たとえ根拠のない予言(=噂や思い込み)であっても、人々がその予言を信じて行動することによって、結果として予言通りの現実がつくられるという現象のこと。 例えば、ある銀行が危ないという噂を聞いて、人々が預金を下ろすという行動をとることで、本当に銀行が倒産してしまう、というもの。 このような社会現象のメカニズムを、アメリカの社会学者マートンは「予言の自己成就」と名付けた。 これは、W・I・トマスの「もし人が状況を真実であると決めれば、その状況は結果において真実である」という定理をさらに展開した理論といえる。
引用元:コトバンク https://kotobank.jp

この場合、デマによってトイレットペーパーがなくなると信じた人たちが一斉に買い占めをおこなったことによって本当にトイレットペーパーが店からなくなってしまうという事態になってしまいました。

なぜこんなことになるのかと言えば極端な話『不安』に駆られるからです。先程のFNNの動画でも家に十分なストックがあるにも関わらずトイレットペーパーを大量に買い求めてしまう人が口にする理由も「いつなくなるのかと思うと不安」だというのが大筋のところでした。ここまで話をすればなんとなくわかるかと思うのですが、不安を訴える人々が不安を解消するためにしている行為が自らの不安をさらに煽り、ひいては不安を現実のものにしていることには気づいていないのです。

『不安感』が現実の事態を悪くしていることも

不安というのはまだ何も起こっていない状況であれこれ思い悩んでいる状況が多いのですが、大抵は不安は現実のものになることはそれほど多くなく、いわゆる杞憂に終わります。当ブログでも過去に杞憂について書きましたが、事実を思い込みなく受けとめるということはやっぱり大事なことだと思います。


人間に不安な感情がなければ何の備えも学習もしなくなる恐れがあり、極端な話生きていくこと自体難しくなってしまうかもしれないのですが、不安が一定の域を超えてしまうとそれこそ買い占めによって社会全体が困ることになったり、不安な感情をこらえきれずに心身が病んでしまうことにもなりかねないと思います。また日用品が手に入らない不安感に乗じて高額でふっかける輩も増えかねません。人の不安な気持ちに付け込んで稼いでいる人のなかには「困っている人のためにやった」という大義名分を掲げている人も多く『不安』を過剰に抱えているとどちらにせよさらに辛い目に遭う可能性が容易に想定されるのです。

もちろんマスクやトイレットペーパーなどの常軌を逸した高額での転売(出品)は褒められたことではありませんし、許していいものではないと思います。だからこそ不安を過剰に捉えず冷静に事態を把握できるようにならないといけないと思います。
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余談 (記事更新後に発表されたニュースについて)

マスク高額転売に関する本日10日付けのニュース。政府から違反者への罰則が『1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金』と発表されたそうです。

15日以降に決まった転売の売買契約が対象となるため、すでにオークションサイトで取引が成立し、15日以降に引き渡す場合は違反とならない。

送料については、「高すぎる」という基準は一律に決めず、個別のケースごとに判断する。また、手製のマスクを販売することは禁じられない。

こちら産経新聞のニュースサイトからですが、ちょっと微妙ですよね…14日までの分は特にお咎めなし。送料は高すぎる基準はなし。これはなんとも。

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